語り描く身体

「君に届くな」が君を想いすぎて気がふれていた。倫を外れる美しさに目が釘付けになった。次に「死神」が続きさらに世界が傾いた。言葉の緩急とマイムによって目の前に賽の河原が現出した。左右に声を振ることによってパノラマに押し広がる賽の河原。今迄と質の違う広がり方だった。
初めての圧倒的な奥行きと広がり、変容する大森さんの身体、蠢く景色に震えた。歌というより詩の朗読劇だった。続く「LOWhAPPYENDROLL」で、"あなた"に呼びかけられることで死の淵から現世に帰ってきた。いつもはヒリヒリするこの曲があんなに優しく感じたのは初めてだった。死の淵に比べれば"あなた"との断絶は温かい。
孤独同士が核を保ちながら溶け合うのを感じた。溶けて液化した孤独が涙になった。
クソカワPARTYで観た「きもいかわ」の秀逸なパフォーマンスに続く、歌っているのか演じているのか語っているのか境界のなくなるストイックな演目が今回の「死神」だった。
これを観るために今日来たのだと思った。

大森さんの「語り描く力」に私は1番惹かれているのかもしれない。