桜の季節

桜を見ると絶望を思い出す。晴天と桜から隔てられた日。

自由に歩めることは当たり前じゃない。それを思い知らされた澄み切った明白な絶望。
春は別れの季節と言うけれど、私は春に自分の尊厳と別れた。
それによって全ての事が見えないところで少し形を変えた。現実が日常の形をしなくなった。
日常という言葉の持つ温度が苦手だ。温かい穏やかな日常を愛するというような表現を見るたび何かから疎外されたような気持ちになる。

 
絶望の形の明晰さに比べて希望はいつも眩しくてよく見えない。