海中生物

その子はどこまでも綺麗なことしか言わないので理解ができなくて、それが面白くて私は側を離れることができない。
作り物みたいな色素薄めの眼球と押したら凹んで戻らなくなりそうな少し湿った頼りない皮膚。
もしかして元々海中生物だったのではないかな。
海中生物の話す事や感情のリズムは人間である私には当然のごとく理解ができなくて心地よい。だから飽きない。
透明になることが理想と語るその子はすでに半透明で光に透けるととても美しい。
その半透明な皮膚がグロテスクに濁る時、より一層美しいので、つい強く握りしめて跡をつけてしまう。